だいぶ期間開いてしまいましたが、今回は奄美大島のノネコ管理計画にかかる検討会レポのラストを書いていきます。
ラストは今後の方針とその他の部分です!
今後、ノネコ管理計画はどう動いていくか気になる方必見の内容ですよ。
今後の作業方針
今後の作業方針では、
- 次年度以降の捕獲作業地域
- 次年度の捕獲作業地域と作業内容
- ロードマップの目標と目標達成のための展開スケジュール目安
について報告がありました。
次年度以降の捕獲作業地域
2021年度は21地域の捕獲作業地域のうち9地域で作業をしたので、残りの12地域の作業展開優先度を検討しました。
作業展開優先度を検討するにあたり、以下のことを整理しています。
- 現捕獲作業地域との連続性
- 希少種保全上の優先度(国立公園区分)
- ノネコ生息状況(ノネコの目撃情報の有無)
- 発生源対策の進捗(TNR調査対象集落数・TNR実施済み集落数)
整理した結果見えてきた捕獲作業地域の展開順序
作業地域名と優先度 | ①R3捕獲作業地域との連続性 | ②国立公園区分※1 | ③ノネコ目撃情報※2の有無 | ④TNR調査対象集落数 | ④TNR実施集落数 | 面積(㎢) | 作業道路距離(km) | 作業道路のかかる3次メッシュ(1㎢)数 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
◎宇検 | 〇 | 2 | 〇 | 9 | 9 | 40 | 44 | 31 |
◎大和北 | 〇 | 1 | 〇 | 6 | 6 | 97 | 59 | 38 |
◎大和南 | 〇 | 特・1・2 | 〇 | 0 | – | 21 | 17 | 13 |
〇西古見 | 〇 | 2 | 〇 | 9 | 6 | 48 | 33 | 25 |
〇知名瀬 | 〇 | 特・1・2 | 〇 | 8 | 8 | 56 | 63 | 42 |
〇名瀬 | 〇 | – | 〇 | 3 | 3 | 28 | 48 | 34 |
〇崎原 | 〇 | – | 〇 | 8 | 8 | 38 | 48 | 34 |
〇龍郷 | × | 1・2 | 〇 | 11 | 11 | 38 | 42 | 29 |
△秋名 | × | 2 | 〇 | 3 | 3 | 27 | 26 | 20 |
△赤尾木 | × | 2 | 〇 | 7 | 7 | 20 | 23 | 19 |
△節田 | × | 2 | 〇 | 13 | 2 | 33 | 22 | 19 |
△赤木名 | × | 2 | 〇 | 12 | 1 | 39 | 37 | 29 |
425 | 462 | 333 |
※1 特:特別保護地区 1:第1種特別地域 2:第2種特別地域 3:第3種特別地域
※2 住民からの目撃情報や他業務のセンサーカメラによるノネコ撮影情報などを含む
- 優先度:現捕獲作業地域との連続性を考慮、南西部から北東部へ拡大することを基本とした
- 今年度の捕獲作業・モニタリング結果をみて:湯湾岳エリア北側・西側の捕獲作業未実施地域からの流入が多いと推測
- 宇検・大和北・大和南から優先的に拡大することを提案したい
- 国立公園区分の特別保護地区・第1種特別地域が含まれている地域も優先度を高く設定
- ノネコ管理計画のロードマップでは2023年度中に全域で作業実施を目標としている、今回の提案内容をもとにして体制の確保状況にあわせ順次拡大
次年度の捕獲作業地域と作業内容
- 2021年度から継続する捕獲作業地域は重点捕獲地域から低密度維持地域への移行はしない(現状と同じ作業内容を予定)
- 2022年度当初から新たに大和北で作業開始予定
- 耐性確保状況にあわせ、優先度をもとに年度内に順次拡大予定
- いずれの地域も随時、重点捕獲地域から低密度維持地域への移行や低密度維持地域の維持状況について評価しながら作業内容を検討していく
ロードマップの目標と目標達成のための展開スケジュール目安

奄美大島のノネコ管理計画のロードマップはこちらからどうぞ~!PDFです。
ロードマップでは以下のことが示されています。
- 2023年度中に奄美大島全域でノネコの捕獲・モニタリングの体制を確保
- 2025年度に奄美大島全域でノネコの個体数減少傾向がみられる
- 2027年度に全域でノネコの低密度化を図ることを目標
ロードマップに示した主な目標・評価
2021年~2027年
奄美大島全域においてノネコの捕獲・モニタリングを実施し体制を確保
2022年
南西部捕獲地域のノネコ個体数の顕著な減少確認
南西部捕獲地域で在来種の生息密度・生育範囲を把握
在来種モニタリング手法の確保
2025年
奄美大島全域でノネコ個体数の減少傾向
奄美大島全域のノネコ個体数推定実施
2027年
奄美大島全域でノネコ個体数を低密度化
奄美大島全域で在来種の生息密度・生息範囲の把握
移行基準を満たした際の各指標
作業地域 | 作業道路距離(km) | 作業開始時期 | 達成時期 | 達成までの期間 | 累計わな日(TD) | 累計わな日/作業道路距離(km) |
---|---|---|---|---|---|---|
旧捕獲作業地域1 | 18.1 | 2018年7月 | 2020年9月 | 27か月 | 29267 | 1619 |
旧捕獲作業地域2 | 25.8 | 2019年7月 | 2020年7月 | 19か月 | 21426 | 830 |
旧捕獲作業地域3 | 58.1 | 2019年5月 | 2020年8月 | 16か月 | 53715 | 924 |
- 低密度地域として移行基準を満たすまでに作業地域1は27か月、作業地域2が19か月、作業地域3が16か月
- 作業道路1kmあたり累計わな日最大1,619わな日
- 現在の重点捕獲地域の捕獲圧(1kmあたり1ヶ月約36わな日)で進めると以降に係る期間は最長45か月、最短23か月
- 移行期間を最長で45か月と仮定すると2023年度中に全域で捕獲開始すると2027年度中に全域を低密度言維持地域に移行できる
- ただこちらの過程は昨年度までの捕獲作業地域・作業内容の推計で、途中で捕獲圧変更など試行錯誤をしつつ進めた結果なので、2021年度から新たな作業内容で進めている重点捕獲地域の低密度維持地域への移行にかかる期間は異なる可能性が高い(やり方が違うからまた変わってくるかもね~ってことですね)
- 今後も低密度維持地域への移行に要する期間に着目・捕獲地域の展開を進める
今後の作業方針についての質問タイム
- 2023年度に全域展開は、このペースだと難しいのではないか?低密度地域も捕獲努力を増やすのが望ましいけれど、予算とか人員の都合もある
-
理想は全域、優先順位なども考えて再来年以降も考えていきたい
効率化できるところはしていく。
その他
- 仕組みができてきているので、TNRなど里の管理も進めていけたらいい
- エリア拡大はとても重要、モニタリングは捕獲前からしないと事業の効果が見えてこないので検討してほしい
- データの出し方など体制ができてきたので、無理して拡大するのではなくて体制を維持しつつ拡大するようにしたい
- 3年間で、データや捕獲技術・ノネコ化の問題も見えてきているので、改善・継続などこれからもやることが山積み、続けていく
- 効果は明らか、とってるデータも素晴らしいので、もっといろいろなことが見えてくるはず、続けていきましょう。
おわり
お疲れ様でした!最後の方というか、今日ですね。
今日とかもはやあまり覚えていないままに書いているので、足りていない部分もあるかと思います。
来年は仕事を放り出して書こうと思いますので、また来年よろしくお願いします!