①ノネコの捕獲作業およびモニタリング結果について【奄美大島のノネコ管理計画 令和3年度の検討会行ってきましたレポ】

奄美大島における生態系保全のためのノネコ管理計画は毎年検討会が行われていて、そこで進捗状況やデータの解析などの報告が行われています。

今年も傍聴できるとのことだったので申し込んで参加しました。

申し込みは環境省のページにありました

http://kyushu.env.go.jp/okinawa/pre_2022/post_174.html

去年一昨年もレポったので、今年も拙いながらレポりたいと思います。

ただ去年もそうだったように、今年も全然検討会の内容についていけないままだったのと、シャーペンの芯を入れ忘れていて途中からずっと蛍光ペンでメモを取っていた関係であまり詳しく書けない可能性があることをご了承ください。

(見返したくないくらい、すごい見づらいノートが出来上がりました。)

資料に「取扱注意」と書いてありましたが、帰宅後問い合わせてどの範囲なら良いかなども確認済みです。

※表などは注釈がないものは全て検討会資料より引用しています。

目次

奄美大島のノネコ管理計画 令和3年度の検討会の流れ

  1. 開会
  2. 環境省挨拶
  3. 出席者紹介・注意事項の説明
  4. 議事
    (1)ノネコの捕獲作業およびモニタリング結果について
    (2)混獲状況および対策について
    (3)在来種のモニタリング状況について
    (4)発生源対策の進捗とTNR事業について
    (5)今後の方針について
    (6)その他
  5. 閉会

資料

(1)ノネコの捕獲作業およびモニタリング結果
(2)混獲状況および対策
(3)在来種のモニタリング状況
(4)発生源対策の進捗とTNR事業
(5)今後の方針

時間は朝10時から正午まで行われました。

最初は「これ、12時めっちゃ過ぎるんじゃないかなあ」と思いましたが、そこまで過度にオーバーすることなく終わったので……すごいなと!思いましたね!

とりあえず本記事では、検討会の流れにそって書いていきますのでよろしくお願いします。

今回は長くなったので「1.ノネコの捕獲作業およびモニタリングについて」のみまとめています。

1.ノネコの捕獲作業およびモニタリング結果について

検討会ではまずノネコの捕獲作業およびモニタリング結果についての報告がありました。

  1. 今年度の作業方針
  2. ノネコの捕獲作業およびモニタリング

捕獲わなをどう設置しているか、ノネコの識別や捕獲状況など面白いデータの数々でした。

今年度の作業方針

作業地域概要

  • 2018年から2020年までは3次メッシュ単位で区切り計4地域を設定していたけど、これだと道路が複数の作業地域にかかっちゃって道路を移動するノネコのことが検証しづらい!となったので作業地域を見直すことにした。
  • 2021年からは捕獲作業を島全域に展開する予定があるので、道路がなるべく途切れない・わなが道路全体に設置できるよう見直しをした。
  • 2021年度はノネコ低密度化を目指す低密度維持地域を設定。
  • 作業地域全体面積は385.8㎢・作業道路距離326.7km
  • 2021年新たに重点捕獲地域の金作原・三太郎・小湊・山間で作業を始めている。
地域面積(㎢)作業道路(km)
金作原47.038.7
三太郎37.035.1
小湊21.228.6
山間43.623.4
湯湾岳37.942.2
重点捕獲地域
地域面積(㎢)作業道路(km)
瀬戸内83.562.9
篠川49.137.2
網野子30.242.2
赤房36.316.6
低密度維持地域

作業内容概要

重点地域と低密度維持地域の作業内容

重点捕獲地域と低密度維持地域では作業内容が異なります。ここではどのように異なるかの説明がありました。

2021年からは捕獲作業地域1~4を旧捕獲作業地域と呼び、その中の1~3を低密度維持地域と呼んでいます。

旧捕獲作業地域の1~4とは?

2018年から2020年度まで作業していた4地域のことです。

エリア1が瀬戸内、2が網野子、3が篠川と赤房、4が湯湾岳を指します。

つまり瀬戸内と網野子・篠川・赤房が低密度維持地域というわけですね。

旧捕獲作業地域4の湯湾岳は重点捕獲作業地域に入っています。

重点捕獲地域とは?

重点捕獲地域は、湯湾岳(旧捕獲作業地域4)を含む金作原・三太郎、小湊、山間です。

●それぞれの捕獲作業内容
低密度維持地域重点捕獲地域
作業内容・2020年度までは1~4のエリアで作業メッシュあたり年間800わな日を目安としてわな設置、作業
・2021年は作業道路1kmあたり1基
・2021年度わな数目安は昨年と同様に年間800TD/作業メッシュになる約3.7基/作業メッシュを設置
・湯湾岳を除く新たに作業を開始した4地域は作業道路1kmあたり2基設置
作業期間・作業道路ごとに約6か月に1度の頻度で稼働
・センサーカメラの撮影状況や目撃情報を参考に稼働罠を決定
・侵入個体抑制のために集落から山へつながる道路は捕獲圧をあげて作業
・各月連続した3週間
・湯湾岳、金作原、三太郎を毎月作業
・小湊と山間は隔月で交互に作業

TD=TrapDay、つまり捕獲努力量

●センサーカメラ設置密度と変更点
2020年2021年
カメラ数2台/作業メッシュ1台/作業メッシュ
点検1回/月1回/月
センサーカメラ設置密度

2021年度からはリサンプリング法等の結果から設置目安の見直しを行いました。

センサーカメラによるノネコのモニタリング方法

奄美大島ではどのように、センサーカメラでノネコをモニタリングしているかの情報です。

●個体識別によるノネコの生息状況の把握
  • センサーカメラの画像データを毎月回収、月ごとに集計
  • 撮影されたノネコは模様や毛の色・体のサイズ・撮影地点・場所をみて個体を識別
  • 同一のセンサーカメラで同じ個体が同じ日に撮影されたら、1枚の撮影として集計
  • 撮影枚数÷カメラ日×1,000=識別撮影率
  • 黒猫や白猫は識別が難しいので、複数撮影されても1個体としている
●個体識別によるノネコの動態の把握
  • 捕獲作業地域の識別個体数と捕獲個体数を月別に集計
  • 識別個体を月ごとに新規確認個体と既知個体で分け集計
  • 撮影されないまま捕獲された個体は新規個体として分類
  • 新規捕獲作業地域(重点捕獲地域の湯湾岳以外の場所)は4月以前からモニタリング開始
  • 金作原と三太郎・小湊は5月、山間は6月から捕獲を開始しているので翌月の識別個体から本定義を適用
  • 旧捕獲作業地域は4月から適用

トラップシャイ個体について
資料の中で、60日以上経過し撮影された場所付近で1わな日以上の捕獲圧をかけても捕獲されない個体をトラップシャイと定義しています。

作業地域の評価方法

重点捕獲地域から低密度維持地域へ移行

重点捕獲地域から低密度維持地域へ移行を検討、判断する際の流れは以下になります。

移行を検討するタイミングか以下の指標で判断
  • 捕獲作業を続けても捕獲がほぼない状態=捕れ止まり
  • またはCPUEが1.00以下で推移が続く
移行可能か検討
  • 識別撮影率:6か月以上低地で推移・低いまま
  • 識別個体数:識別個体の減少傾向が見られている・少ないまま
  • 識別個体:識別個体の内訳を精査、過半数がトラップシャイ個体

※1日に複数枚同個体が撮影されたら1枚とカウント

いずれかの基準を満たしたら可否を判断

周辺地域のノネコ撮影状況・発生源対策の進捗もふまえながら可否を総合的に判断

重点地域から低密度維持地域へ移行

低密度地域における低密度維持状態の評価

低密度地域になったら「ハイ、おしまい!」というわけにもいかないので、低密度地域になった後も低密度地域が保たれているか定期的に評価します。

評価方法は以下になります。

低密度維持状態か、評価方法
1.識別撮影率

〇識別撮影枚数÷カメラ日×1,000で識別撮影率を出し、識別撮影率が移行期から増えていないかを見ます。

×撮影率の増加が6か月以上続くと逸脱状態と判断されます。

2.識別個体数または識別個体数÷作業道路距離(km)

〇ノネコの増加傾向が見られていない状態が低密度状態になります。

×識別個体数の増加が6か月以上続くと逸脱状態と判断されます。

3.識別個体の内訳

〇識別個体のうちトラップシャイ個体が過半数だと低密度状態になります。

×捕獲作業の4から6か月のうち1か月の山間部で、識別個体の半数以上が新規個体で6か月以上継続し捕獲もできていないと逸脱状態と判断されます。

ノネコの捕獲作業およびモニタリング

捕獲作業地域全域の作業結果と、重点捕獲地域の作業結果を分けてお伝えします。

捕獲作業地域全域の作業結果

捕獲作業地域全域の作業結果

ここはちょっと表が複雑で載せるか悩みましたが、恐らくこの表で疑問が解決する方もいらっしゃると思いましたので、やや見づらいとは思いますが載せます。

CPUEは捕獲数÷わな日×1,000で算出しています。

※地域●開始は捕獲作業地域になります。地域1開始だと捕獲作業地域1開始ということです。
※捕獲数の()内の数字はTNR個体を表しています。
※捕獲数には手捕りや捕獲作業地域外のピンポイント作業による捕獲は含まれていません。

捕獲努力量ノネコ捕獲数CPUE
2018年度7月
地域1開始
74522.68
8月10936(1)5.49
9月97111.03
10月80144.99
11月15132(1)1.32
12月95611.05
2019年1月
地域2開始
32038(1)2.50
2月36266(1)1.65
3月357151.40
4月
2019年度開始
372230.81
5月
地域3開始
457216(2)3.50
6月58016(1)1.03
7月625150.80
8月40032(1)0.50
9月451730.66
10月564291.60
11月42399(2)2.12
12月56099(1)1.60
2020年1月49455(2)1.01
2月67969(1)1.32
3月30464(1)1.31
4月
2020年度開始
534810.19
5月650610.15
6月658310.15
7月
地域4開始
593110.17
8月580120.34
9月373800.00
10月61505(1)0.81
11月46451(1)0.22
12月316410.32
2021年1月627840.64
2月67462(1)0.30
3月44682(1)0.45
4月
2021年度開始
1402(1)14.29
5月
捕獲作業地域区分の変更と拡大
648514(3)2.16
6月643016(4)2.49
7月44384(2)0.90
8月81588(2)0.98
9月69696(2)0.86
10月852511(3)1.29
11月630318(8)2.86
12月459515(5)3.26
2022年1月61217(5)1.14
合計199,144237(54)1.19
捕獲作業地域全域の捕獲作業結果-令和3年度の奄美大島ノネコ検討会資料1より
わな日捕獲数CPUE
2018年度16,47935(4)2.12
2019年度59,14380(11)1.35
2020年度65,35821(4)0.32
2021年度58,164101(35)1.74
合計199,144237(54)1.19
年度別の捕獲作業地域全域の捕獲作業結果
  • 2018年7月から2022年1月末までに199,144わな日の捕獲努力量、237個体を捕獲、CPUEは1.19
  • 2021年度は5月から1月末まで58,164わな日の捕獲努力量、101個体を捕獲、CPUEは1.74
  • 捕獲した101個体うち35個体(34.7%)がTNR個体
  • ほかに手捕りで3個体(500gほどの子猫)捕獲したので、今年度(令和3年度)そう捕獲個体数は104個体
  • 捕獲作業地域外にて、2018年7月から2020年10月までにノネコ生息情報があった場所を中心にピンポイント捕獲作業実施、59個体を捕獲しているので、そう捕獲個体数は299個体となる

捕獲作業地域全域のノネコモニタリング結果

2018年4月から2022年1月末までのノネコモニタリング結果です。

どれくらいのノネコが撮影されていて、その中で識別されているのはどれくらいで、識別された中でどれだけ捕獲されたかもわかります。

ここもすごい長いですが、まあ、たぶん気になる人いるのでここも載せますね。

※白猫および黒猫は個体識別ができないので識別個体の捕獲数には含まれていません。

カメラ日撮影枚数識別撮影率識別個体数識別個体の捕獲数
2018年4月
2018年度開始
631147233.017
5月636101158.817
6月7507397.314
7月
地域1開始
742145195.5131
8月736137186.1124
9月72091126.471
10月7616788.073
11月7421317.561
12月1316225171.0160
2019年1月
地域2開始
1347292216.8235
2月120611897.8126
3月13519066.6144
4月
2019年度開始
1564201128.5282
5月
地域3開始
3032499164.65510
6月3144319101.5403
7月324923371.7363
8月254914958.5182
9月249915060.0250
10月276521878.8356
11月2832424149.7275
12月2923482164.9277
2020年1月2962402135.7201
2月2784368132.2269
3月300625083.2174
4月
2020年度開始
273123485.7121
5月279521376.2161
6月266813450.2150
7月
地域4開始
319411836.9161
8月301412942.8141
9月28136723.8180
10月310819562.7243
11月295024583.1211
12月338228383.7231
2021年1月316930395.6214
2月3053356116.6320
3月3955536135.5472
4月
2021年度開始
4512488108.2531
5月
捕獲作業地域区分の変更と拡大
520941078.75212
6月513724347.3469
7月534919636.6362
8月537019636.5307
9月514025549.6293
10月511929657.8355
11月516149896.54813
12月535053399.64414
2022年1月510140178.6316
合計132,52711,52386.9351164
捕獲作業地域全域の識別撮影率と識別個体数-検討会資料より
カメラ日撮影枚数識別撮影率識別個体数識別個体の捕獲数
2018年度10,9381,499137.16825
2019年度33,3093,695110.912352
2020年度36,8322,81376.49076.4
2021年度51,4483,51668.314468.3
合計132,52711,52386.9351164
年度別の捕獲作業地域全域の識別撮影率と識別個体数-検討会資料より
  • 全期間の識別個体数は合計351個体、識別撮影率は86.9%
  • 2021年度、51,448カメラ日でノネコ撮影枚数は3,516枚、識別撮影率は68.3%
  • 捕獲作業地域を変更・拡大した2021年5月に識別個体数52個体だったが1月は31個体に減少
  • 2021年度4月から1月までの識別個体数合計は144個体、内72個体を捕獲
  • 白猫・黒猫は識別個体数に含まず捕獲作業の結果と差が出るので注意

重点捕獲地域の作業結果

重点捕獲地域全域の捕獲作業結果

重点捕獲地域をピックアップした捕獲作業結果です。

4月は捕獲作業開始したばかりで罠の準備やモニタリング作業を優先しているので少なくなっています。

重点捕獲地域とは?

2021年度から開始の重点捕獲地域は、湯湾岳(旧捕獲作業地域4)を含む金作原・三太郎、小湊、山間です。

※捕獲数の()内の数字はTNR個体を表しています。
※4月は湯湾岳一部のみ捕獲作業を行いました。

わな日捕獲数CPUE
2021年度4月5600.00
5月552612(3)2.17
6月52358(1)1.53
7月36913(1)0.81
8月67645(1)0.74
9月59012(1)0.34
10月70734(1)0.57
11月52969(5)1.70
12月37266(4)1.61
1月50493(3)0.59
合計48,31752(20)1.08
重点捕獲地域の作業結果ー検討会資料より
  • 2021年度5月より全域で開始、1月末までに48,317わな日の捕獲努力量を投入
  • ノネコ捕獲数は52個体、CPUEは1.08
  • 捕獲した52個体中20個体(38.2%)がTNR個体
  • CPUEは5月から10月にかけて減少傾向、しかし11月と12月は再び上昇、1月また減少し、1.00を下回る

重点捕獲作業地域の識別撮影率と識別個体数

※白猫および黒猫は個体識別ができないので識別個体の捕獲数には含まれていません。

カメラ日撮影枚数識別撮影率識別個体数識別個体の捕獲数
2021年度4月2206294133.3340
5月279720774.03610
6月278310838.8284
7月296113244.6251
8月301713344.1224
9月290015453.1182
10月302111437.7233
11月292915151.6247
12月294217258.5175
1月288916155.7173
合計28,4451,62657.28339
重点捕獲地域の識別撮影率ー検討会資料より
  • 4月のモニタリング開始時には識別撮影率が133.3
  • 5月の捕獲作業開始後、識別撮影率の減少が見られた
  • 6月以降は50前後で推移
  • 5月の捕獲作業開始時の36個体から1月末までに17個体に減少
  • 2021年度に識別した83個体のうち39個体(47%)が捕獲された

重点捕獲地域の識別個体数と残存個体数

重点捕獲地域内のノネコ個体数が減少したと確認できた理由

  • 5月の捕獲作業開始から1月までに識別個体(新規個体と既知個体)と新規捕獲個体の合計は36個体から17個体に減少
  • 新規個体は8月を除くすべての月で確認
  • 新規捕獲個体は6月以降おおむね毎月確認
  • 残存個体数(識別個体数から識別個体の捕獲数を引いた数)は、4月の34個体から1月末まで14個体に減少
  • 識別個体数が増えた月は捕獲数が増加

重点捕獲地域全域におけるノネコの動態

動態とは活動している姿や時間による変動のことです。つまりノネコの生活の様子みたいな、そんなニュアンスですかね。

  • 2021年度の捕獲作業開始以降すべての地域で撮影・捕獲あり
  • 捕獲作業開始から夏にかけ識別個体数減少
  • 期間中全ての月で新規個体・新規捕獲個体を確認
  • 捕獲個体のうちTNR個体は38%、集落や市街地から山域への侵入が示唆された
  • 秋から冬にかけ識別撮影率・識別個体数がやや増加の傾向、しかし捕獲数も増加しているので全体的な識別個体数は減少
  • 山域での捕獲が進むと一時的にノネコの撮影・捕獲がなくなる、しかししばらくすると捕獲作業地域外(未作業地域や隣接している他作業地域)からノネコの侵入を確認
  • 重点捕獲地域のうち3地域で山域の繁殖・子育てを示唆する撮影あり

ノネコの写真が資料にあったよ。4枚あり、生き物をくわえている姿も載ってました。ネットに出回ることは少ないけど、やはり撮影されているようですね。

低密度維持地域の作業結果

低密度維持地域とは?

奄美大島のノネコ管理計画が始まった2018年から2020年度まで作業していた4地域のうち、湯湾岳を除いた3地域を指します。

エリア1が瀬戸内、2が網野子、3が篠川と赤房、4が湯湾岳、つまり瀬戸内と網野子・篠川・赤房が低密度維持地域というわけですね。

湯湾岳は重点捕獲作業地域に入っています。

低密度維持地域では、約6か月に1度の頻度で稼働、センサーカメラの撮影状況や目撃情報を参考に稼働罠を決定、侵入個体抑制のために集落から山へつながる道路は捕獲圧を上げて作業しています。

低密度維持地域の作業結果

※捕獲数の()内の数字はTNR個体を表しています。

わな日捕獲数CPUE
2021年度4月842(1)23.81
5月95922.09
6月11958(3)6.69
7月7471(1)1.34
8月13943(1)2.15
9月10684(1)3.75
10月14527(2)4.82
11月10079(3)8.94
12月8699(1)10.36
1月10724(2)3.73
合計9,84749(15)4.98
低密度維持地域の作業結果ー検討会資料より
  • 4月から1月末まで9.847わな日の捕獲努力量
  • ノネコは49個体捕獲、うち14個体がTNR個体(31%)、CPUEは4.98
  • 4月は2021年開始の地域のわなの準備・設置・モニタリング作業を優先していたのでわな日は少ない
  • CPUEは5月の作業地域変更・拡大後に穏やかに増加、12月最大値になり1月に再び減少

低密度維持地域の識別撮影率と識別個体数

※白猫および黒猫は個体識別ができないので識別個体の捕獲数には含まれていません。

カメラ日撮影枚数識別撮影率識別個体数識別個体の捕獲数
2021年度4月230619082.4231
5月241220384.2202
6月235413557.3195
7月23886426.8121
8月23536326.883
9月224010145.1131
10月209818286.7162
11月2232347155.5276
12月2408361149.9309
1月2212240108.5184
合計23,0031,88682.07334
低密度維持地域の識別撮影率ー検討会資料より
  • 捕獲作業開始以降7月にかけ識別撮影率は減少、8月から11月にかけて増加し5月の水準を大きく上回る
  • 11月・12月の識別撮影率増加の要因は特定の2個体によるもの、1月は再び減少傾向
  • 識別個体数は4月の23個体から8月にかけ8個体に減少
  • 9月から12月にかけ30個体まで増加、1月に18個体に減少
  • 2021年度識別された73個体うち34個体(47%)が捕獲された

低密度維持地域全域の残存個体数

  • 識別個体(新規個体+既知個体)と新規捕獲個体の合計は、4月の24個体に対し8月までに8個体に減少
  • 9月以降、新規捕獲個体が増加、12月に30個体になり1月に18個体に減少
  • 低密度維持地域では毎月識別個体の捕獲あり
  • 識別個体数がふえると捕獲数も増加の傾向
  • 残存個体は作業開始時の22個体から14個体に減少

低密度維持地域におけるノネコの動態

  • 2021年度の捕獲作業開始以降全ての地域でノネコの撮影および捕獲あり
  • 低密度維持地域の作業でTNR個体・トラップシャイ個体・幼獣が捕獲されている
  • 集落からの侵入・山域の個体数の増加を抑えられていると考えられる
  • 捕獲作業開始から夏にかけ識別個体数減少
  • 秋から冬にかけ識別撮影率・識別個体数が増加する傾向
  • 捕獲数も増加したので低密度状態を維持できていると判断する
  • 低密度維持地域4地域うち、1地域で山域での繁殖(親子が同時撮影されている)や子育て(親猫が餌を運ぶ)を示唆する撮影あり

低密度になったとしても続けることが大切だとよくわかりますね。

旧捕獲作業地域1~3の作業結果

旧捕獲作業地域1~3と書いてあるけど、現在の低密度維持地域のことですね。

捕獲作業地域3のモニタリングを開始した2019年4月のデータを用いて、作業方針後もノネコ低密度状態が維持されているか評価するためにモニタリング結果をまとめました。

  • 識別撮影率の推移:2019年4月から2021年9月までは増減を繰り返しつつも減少傾向を示していたが、9月~12月にかけ増加、11月・12月の高値の原因は特定の2個体が広範囲で何度も確認されたため
  • 識別個体数の推移:2019年4月から減少傾向、2020年7月~2022年1月まで10頭前後で推移、新規個体数・新規捕獲個体数は識別個体数が10前後で推移しはじめたあとも断続的に確認、捕獲作業地域内での繁殖・捕獲作業地域外から断続的にノネコの侵入が示唆された
  • 残存個体数の推移:識別個体が増加した月は捕獲数も増加、2021年度4月から継続して識別個体が捕獲され、現在の作業でノネコの低密度状態が維持できていると考えられる

2021年度から低密度維持地域として作業を変更したあと、識別撮影率は増加が見えたけど識別個体数は昨年度と同様に10頭前後で推移しているので、現在の作業量でノネコの低密度状態は維持できていると考えられる。

作業地域外から断続的に侵入も推測されるので、引き続き捕獲作業・モニタリングを行ってノネコの動態を注視する。

質問タイム

検討会では大体質疑応答の時間が設けられています。その中で聞き取れたものをご紹介します。

3年以上にわたる捕獲でデータがそろってきた。ただ、山への侵入をおさえられているけれど一方で入ってくる個体がいる。この表現はどうしたらよいか?

集落から山域に繋がる道路で毎月捕獲圧をあげ侵入してくる個体を抑制、侵入を抑えられていると判断、

幼獣とあったが、捕獲された個体は幼獣が成長したのか・侵入した個体なのか区別はできているのか?

今のところは、捕獲個体だと年齢などはわかるが識別個体の場合はわからない。ただ、体毛で里生まれか山生まれか区別できる技術があるため、今後そういったデータも出る予定。(来年以降おしらせあるかも!)

3年間のデータのおかげでどのように里からあがってきたかTNR個体の割合もみえてきた。ただ、1年目はTNR個体があんまり上がって来てなかったというわけではなくて、里のTNR率が上がってきているからこそ。

今年はTNR個体が増えているのは確か、里のTNR率が関係しているとこちらでも考えている。

捕食写真はどれくらい撮影されてる?

枚数までは把握してないが、毎月多くて毎週移る時がある。写真は全部保存しているので、数えればわかる。どこかしらで撮られているので、こうした状況を伝える方法も考えているところ。

親子で撮影された個体などはピンポイント捕獲はしないのか?

タイムラグはあるが、撮影地点で罠数を増やしたり低密度維持地域の場合は撮影された場所のルートを選択するなど方法をとっている。ピンポイント自体は昨年度10月に終了して今年度はしていない。ピンポイントしていた時は2割程度ピンポイントで捕獲できていたがその地域の猫がどのように減っていったかなど評価しづらいため今はしていない。ただ低密度地域の場合はその限りではない。

体毛で見分ける技術の補足

奄美大島の森林に棲むイエネコの食性2型:絶滅危惧種依存型と人為資源依存型
2019年11月11日 徳之島の外ネコ問題

↑こちらの技術を利用した見分け技術のようです。毛で何を食べていたかなどがわかるとのこと!ですが、体毛は生え変わるので中年の猫などの場合は難しいかもしれませんね。ただ技術がどの程度進んでいてどのように判断するかなどは私もよくわかっていないので、どう見分けていくのか前提条件なども含め楽しみにしていようと思っています。続報を待ちましょう。

質問以外

  • 3年間やってだいぶ山で生活しているノネコが減ったとデータからわかってきた。季節変化もでてきて、防波堤みたいなかんじで捕獲が機能している。
  • ノネコの寿命や移入率など山の中の猫の生活状況をデータでもっとわかるようになる

次回へ続く

今回は奄美大島における生態系保全のためのノネコ管理計画の令和3年度検討会であった「ノネコの捕獲作業およびモニタリング結果」について資料とメモを元にまとめました。

資料が見やすくまとめやすかったので、もはや資料貼っちゃった方が早くね?と自分でも思ったのですが、資料をそのまま載せることはNGであることと資料に私がたまに書き込んじゃってるというのもあるのでこのような形になりました。

ノネコ管理計画については、特にクローズド案件でもないのですが、ただ行政の発信方法が限られることもあり現在の状況が見えづらいのが現状です。

こういった検討会での報告は、いち市民としてとても助かりますね!どういう状況かどんなデータが集められているのか知れて「あ~~~~~~検討会ってお得だなあ」と私は毎年思っています。正直データの報告すごい楽しみだったりします。

特に今回「ノネコの捕獲作業およびモニタリング結果」では、来年以降に毛による分析も出るとありましたので、そこがもう楽しみすぎてやばいですね!はやくみたいなー。

では次回は「混獲および対策」についてのレポとなりますので、しばらくお待ちください。

つづきはこちら

サイトの管理人

奄美大島在住。生き物ニワカ勢です。ネコも割と好き。イヌも可愛いと思うし、クロウサやカエルやヘビも好きだし、でも名前が覚えられないからずっとニワカ。そのへんにいます。検討会行ってるのはただの趣味。色々思うことはあるけど、思うことがあるだけで覚えてないので言えることがあまりない毎日を過ごしています。でも楽しいです。

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